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2008.04.23 『君は沈黙の音を聴いたか』
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靴が届いた。
プーマのアモコヴィンテージのシルバーカラー、
NIKEのSPRINT SISTERのシャイニーカラーの2足
スニーカーは安いからいい。の割りに長持ち。
もうすぐ梅雨だし、最近は歩くことが多いし
足に合わないヒールを脱いで
スニーカー履いてでかけよう。

耳をすませば、
すぐそこにゴールデンウィーク
母は小豆島、兄はフランスへ
幸せな休日を。
これ以上、私は何をねだろうか。


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夏日の午後を通り越して
日が暮れた後で、少し雨が降った。
これを書く今も、水分を含んだどっしりとした空気と、
なまぬるい時間帯が身体を奪う。

時を少し戻して
暮れるのが遅くなった本日の夕暮れ時、その帰り道
路頭を歩く最中に、
大きな鳥の鳴き声で、引き寄せられたように無意識に意識が上昇し
何の特別さも持たない4月23日の夕空を眺める。
隣に歩いていた黄緑のネクタイが全然似合ってないおじさんも
同じように空を見ていた。

あまりに同じタイミング、あまりに同じ角度で
影送りをするかのように空を見上げる二人
私たちは、まるで手をつないでいるみたいだった。
もう何十年もそうしてきたように
これからもずっとそうすることを選ぶかのように。
しばらくそのまま鳥が空を渡るのを見て
私は、瞬きの代わりに少しだけ目を瞑った。
コンマ数秒の祈り、なまぬるい風が頬をさわった。
瞼の裏、視界の水面下は光を記憶して、
それはチリチリと眩しくて
目を開けたらおじさんはもう居なかった。

誰とも繋がっていない手のひらに、
残るはずのない誰かの体温
ほんの少しひりひりと妙な感覚だけをここに残して
忽然と姿を消してしまう分身のような隣人。
こんな気持ちになるぐらいなら、
いっそその手を繋いでしまえばよかった。
なんていう風には思わないぜ私は、
そう願うよ今は。
そして今日も残りの家路をチャキチャキ歩き出す。

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仕事中にふと頭の中をアメイジング・グレイス
特別すきな曲でもないが、
バグパイプで演奏したやつを一度は聴いてみたい。

母の知り合いが亡くなったとき、生前の本人のことづけで
葬送曲に、この歌が使われたそうだ。
よく晴れた昼下がり、数々の人々が涙を拭いながら
この曲を故人の思い出と共に胸に抱いたらしい。
90歳を前にしたおじいさんがどんな心境でこの曲を。
粋なことするよね、って母は
私の時はサウンドオブサイレンスをよろしくね
とまた小粋な選曲。
サイモン&ガーファンクルの美しい音色に哲学的なレトリック
天国への旅立ちに
私たちへ
沈黙の音を、残してくれるらしい。

私のときは・・何にしようかな

ここにきて途方もないことをまた一つ考えて
裸足の足の指先を左手でなぞり
右手の親指で唇の感触を確かめる。
くせなのでね、何かを考えるときの。

そして新しいロマンスがまた、心を躍らせて
答えを拾う度に私を縛り続けていく。
だから私は、予想しか立てない。
何かに向かって死んでいくことなどを決めてしまえば、
何かの意味でしか生きていけないように
決められたレールの上でまた一つ夢を失ってしまうだろう。

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雨がやんだようなので煙草を買いに行こう。
酢酸をぶちまけたようなアスファルトに
おろしたてのゴムが軋んで
裸眼の目にぼんやりと映る住宅の光の中
潜水するかのように歩き始める。
ポケットには必要な分だけの小銭を入れて、
バラバラになってしまわないように手をつっこむ。

頭の中に沈黙の音
握り締めた小銭の感触
葬送曲の賛美歌
一歩一歩を噛みしめるような足取りのなか、
さようならと引換えに
希望のような響きが
いつまでもいつまでも
by aoi-ozasa | 2008-04-23 21:41 | Daily life
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