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2008.02.08 『ケセラセラ』
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ここには居場所がない。
と誰かが言った。
慰められたいのか?いや、そうじゃない。
誰かに与えて欲しいとでも?それも違う。
でも彼女はいつもそれを探している。


イチではいつも読書をする。
競り合う商品がそれぞれ違うので、そこにはどうしても空き時間が生まれる。
電卓叩いて、買えた商品を再確認して、次の競りへの気合を入れてって
それでも空いた時間を私は読書に使う。
ぼんやりと、他の商品たちにそれぞれの値段が付けられていく様を
ただ見つめているには時間がありすぎる。
競り負けた商品を悔やんで、冷静さを欠いたり、いつまでもクヨクヨしてしまうぐらいなら
一度、本の世界で頭をリセットした方がずっと効率が良い。
いつものように読書にふけっていると、
飴を配るおっさんが、横から順に自分の方へ近づいてくるのを感じた。
目は活字を追いながらも、おっさんの動きに集中する。
ああ、次、私の番だ。
と思ったのは何かの間違いだった。
私の右隣は、私の左隣。
左左左
そして私はここに居ない。
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兄と二人兄弟だった私は、幼い頃はよく兄に連れられて
兄と同期の近所の男の子たちに交じって遊んだ。
幼い年齢だ、少しの歳の違いが大きく表面に出る。
誰よりも速く、誰よりもおもしろく、誰よりも強く
そんな願望は叶えられるはずもなく
私は、小さな妹だった。
兄達が遊ぶ中で一人、コンクリートの塊に腰掛けて見張り番をした。
悪ガキたちが、良識あるちょっとおせっかいな大人にどやされたり、余計なお説教を受けないように、
瞬時に、子供たちだけの世界へ駆け出してゆけるように
兄達を見張る役目がわたしのそれだった。
ある日、風邪を引いてその遊びに参加出来なかったことがある。
私が居ないと兄達が困ると、一生懸命風邪を治すことにつとめた。
今、思えば健気なもんだ。
次に行くとき、そのコンクリートの場所は違う誰かが座っているとも知らずに。
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思えばいつも、居場所を、自分の存在価値を
ひたすらに追い求めてきたように感じる。
あるときは、限られた塀の中に
またあるときは誰かの心の中に
自分が誰かを深く愛するように、ほんの米一粒ぶんでも
わたしを必要としてくれることを望んで生きた。
それが叶えられない度に、居場所がないと吐き捨てた。

でも居心地良い空間を知るたびに、自分を疑った。
ぬるま湯に心を委ねて、ゆりかごに抱かれて
どこへも行けない自分を、ひどく憎んだ。
ただ疎外感や孤独に耐えられないだけだというのなら
貴方は強くあるべきだった。
そう囁く心をどこかで間違いなく感じながら

最近、ひとりが好きになったのには
きっと幾つもの理由がある。
気楽に笑える理由も、じつは人には言いにくいことも
もともと寂しがり屋な人種だ、そう簡単に格好がつくはずもなく
優しい友達にみっともない長電話をして困らせたりしている。
ついつい甘えたことを言ってしまう自分が情けない。
まさかこれが素面だなんて。笑っちゃうぜ。
でも、そんな感情は気付かせてくれることがある。
まるで己を知れ、と励ましてくれるかのようだ。



ここには居場所がない。
また誰かが言った。

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それはここではなかった。
そんなものはここにはなかった。
そう言い捨てることは簡単だ。
だから今、根本的に間違いを指摘する。

最初から探すものなんかじゃなかった。
見つかるわけない。そんなものどこにもありやしない。
どうしてそれを知らないふりして生きられるんだろう。
そうか。それは自分で作るもんだった。

自分の弱さを受け入れることは、他人のそれよりもずっとずっと
苦く、泥臭い。
負けるかよって、意気込んでみてもなかなか空回り。
憧れていた人物像にはほど遠いね。
"らしくあれよ!あんたが昔そうだったように!"
過去の自分からエールを貰う。
友達に背中を押してもらう。
ありがとうの代わりに新しい扉を叩こう。
新しい世界は、きっと素敵なことがたくさんある。
同じようにあるドン底の落とし穴に、はまらないようにだけ気をつけてね。
自分の書いた文章に、我ながら前向きにさせられながら

ケセラセラ
なるようになるさ

そう在れたらいい。
そうで在りたい。
by aoi-ozasa | 2008-02-08 04:24 | Daily life
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25歳なりました。日記は長いです。覚悟してください。
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