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2008.02.01 『夜の足音』
カサカサとした音、不穏な空気
嫌だ、まだ夢を見ていたい。
誰かの息遣い、自分の鼓動
だんだん近くなってくる。
いつもと何かが違う
いつもよりも何かが余分だ

起きているなら、ゆっくり目を覚ませ
寝ているなら、そのまま死ね。

自分の声が聴こえたら
そうだ、今こそがスタート。

2008.02.01 『夜の足音』_a0090173_23554515.jpg

マットレスの下には、カナヅチとサバイバルナイフ。
サバイバルナイフはスピアポイントの鞘が付いたタイプ、
本当はフォールデリングナイフの方が使い勝手が良さそうにも思えるが
ハンドル部分がしっかりと手に沿うのは理想的だ。
布団がこすれる音を極力立てないように右手を外へ出し、
柄が20cmもあるカナヅチを握り締めたら
目を開けると同時に振り子の反動で相手の足へ直撃させる。
骨が砕ける音を確認したら、左手でサバイバルナイフを握り、
倒れこんだ相手の太ももへと滑らせる。
必要であれば刃を付きたてた状態で柄の部分をカナヅチで叩き、
釘打ちの要領で肉塊の奥深くへと喰いこませる。
立てなくなるぐらいの衝撃を与えることが肝心だ。
相手が武器を所持していることを常に頭に置き、
それに備えることを忘れてはならない。
両腕は粉々にしておくことが良いだろう。
アームロックをかけられることを恐れるのであれば、肩から砕くのが理想的だ。
もし、相手の声で仲間が階段を上がって来たら、
けたたましい叫び声で威嚇をし、片端から頭をかち割ってゆく。
一発で脳髄が噴出すぐらいの強さを手に込める。
どちらにしても速さが何よりも肝心。
一瞬のひるみで、ジ・エンド。
取っ組み合いで勝てるはずなどないのだから、奇襲、奇襲、奇襲、
攻撃こそが最大の防御だ。
相手も素人であることを祈るほかにない。
危険を察知したら、ためらわず必ず生き残ることだけを頭に置いて立ち向かえ
必ず生き残る決心とは
いつでもその代わりに誰かの命を奪うかもしれない覚悟
生か死かを互いに見極める瞬間。


それが、もしも家に侵入者が入ってきた時の対処法だ。

2008.02.01 『夜の足音』_a0090173_2356060.jpg
私はこれを考えるといつも眠れない。
しまった、足の骨を砕いた後に相手を縛り付けるロープを買い忘れた
などということを思い出すともう大変だ。
今すぐにでもありえない音が聴こえてきそうな1階の階段
2階で寝ている母親の元に、一段、一段と近づく音が聴こえたら
全ての弱さを捨てて、階段を駆け降りる。

私は、出来るだろうか。
自分の命をかけて誰かの命を奪う作業が。
仮に相手が金目的であったなら、ここまでのことをする必要はない。
だだ、どうやって見定めるんだ?
相手がただの姑息な泥棒か、人の命や生活を壊す凶悪犯か。
選んでいる余地などない。
一番怖いのは、自分が何も出来ないこと。
何も出来ずに、母親を見殺しにして、自分の命が奪われる音を
ただただ受け入れていかなければならないこと。

怖がりで臆病な私に
素早く、正確に、相手の命を奪うことなんて出来るんだろうか。
相手の痛さや、辛さや、哀しみを受け入れることなんて出来るんだろうか。

2008.02.01 『夜の足音』_a0090173_23561635.jpg
昔、ミナミの商店街でナイフを振り回すおっさんに出くわした時、
人だかりの中で、一瞬だけそのおっさんと目があった気がした。
おっさんがこっちに来るんじゃないかと、
それはまるで群生の中から見つけ出されたかのように、野生の勘が体中を貫いた。
私はもう怖くて怖くて、それはそれは物凄い距離を走った。
運良くか、ただの深読みだったか、おっさんは全く追いかけてこなかった。
勘違いで自分が走った距離に拍子抜けしたけれど
もしおっさんが追いかけて来ていたら、間違いなく背中からいかれたろうな
と身震いした。
その時に、次にもしそんな危険と対峙しなければならない時がやってきたら
絶対に逃げるもんかと心に誓った。
まさかそれが我が家ならば尚更、
守るべきものがあったとしても、逃げる場所なんてどこにもない。

私には出来ないかもしれない。
かつて今だ!今だ!という声をどこかで聞きながら、そのタイミングに合わせられず
泣きながら自分の運命を受け入れていくことしか出来なかった私に
自分の命を守る為に誰かの命を奪うことなど。
出来れば一生経験したくない。
でも、そのせいで死ぬことも絶対に許したくはない。
だから、毎日頭の中で訓練をしている。
誰にも冒されたくない静かな生活を守る為に、
そのとき自分ができることを
そのときの自分がするべきことを。

おかんに言ったら、どうかしてると言われた。
確かに。
でもこういうのはシュミレーションが大事だろう?
思い出すと臆病な私は今日も眠れない。
絶対に殺してやる。絶対に殺してやる。絶対に殺してやる。
・・・と、本来の主旨まで変わってくる始末。
しかし、どうして。
夜の足音を聴きながら
暗闇の中でじっと考えるトリッキーな自分の姿は
我ながら鳥肌もんだ。
by aoi-ozasa | 2008-02-01 23:56 | Daily life
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