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2005.09.21 「ノーディスク」
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そういえばこわい夢を見たな、と思う。

いつの話だったか正確には忘れたけれど
とてもこわい夢だったのを何故か今日思い出した。

しかし今日になって、なぜそんなことを と、少し訝しくも感じるけれど、
実感とはたぶんいつも、経験よりもずっと後回しでやってくるものだから、
これぐらいの時間の空きは、別に珍しくもなんともない、とも思った。

なんの夢だったかな?
頭の中を探るけど断片的なものしか残っていない。
ワンカット、ワンフレーズ
しかしそれだけで「こわい」という感情を彷彿させてくれるのだから、
ストーリーに繋がれば、もうすんごいこわい夢であることは間違いない。

鮮明に覚えているのは、一度目が覚めたこと
朝方に、とても汗をかいて目が覚めた。
だけどそれは、何かから抜け出したかのように突拍子な目覚め方ではなくて、
生暖かい泥の中から這い出してくるかのような、そんな目覚めだった。
眠くて眠くて、目が開けれない。

まだ太陽が昇りきっていない薄暗い部屋の中では、DVDデッキの電光表示だけが点滅していた。
それがすごく眩しくて、 消さないと、と思うけど体にまだ血が廻っていないのに加え、とてもこわい夢を見た後だったものだから、起き上がれそうにはなかった。

DVDデッキの電光表示はチカチカとしている。
何やってんのよ、
と思う。
電源を消し忘れたまま寝てしまうなんて、何やってんのよ、 だ
それ以外に出てくる言葉などない。
消さないと、早く消さないと。

そうは思うけど、体がいうことをきかない。
実際、目だって開けているのかどうかも曖昧なぐらいだった。
そしてそこで重大なことを思い出した。
思わず重たかった瞼が開く。 口から息が漏れる。

DVDなんてここ最近長いこと、電源を入れた記憶はない
一瞬、え?と思った。
付けてないよな。
いや、映画なんて見る暇なかったもんな。
まさか、何週間もずっと付けっぱなしだった、なんてことはありえないだろうし、
誰かが部屋に入って電源を入れたなんてのも考えにくい。
この家には母親しか居ない。
もう一度目をつぶりながらそんなことを考えた。

そして私は、まるで人形のような体に鞭を打って、上体を反らす。
やはり点滅する緑色の光に現実感を失いながら、
改めて自分に問い、DVDレコーダーの方へ神経を研ぎ澄ませる。

視力が日に日に落ちてきている私は、はっきり言って、そこに書いてある文字など読めるはずはなかった。
なんとなく光を、その形態をギリギリとらえることは出来たとしても、
それを文字に置き換えることは出来ないはずだった。
だけど私は、

見てはいけない!

と強く思った。
その文字を読んでしまってはいけない、その意味をとらえてしまってはいけない
なぜかもの凄くそんなことを思った。
そして急いで布団を被って、その光が届かないように深く目をつぶって、暗闇の中に身を潜めた。

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次に目が覚めたのは予定通りの時間
日はとっくに昇り、母親が下の階でせわしなく掃除機をかける音が聴こえてくる。
私は大きく背伸びをして、 まだ寝足りない体をゆっくりと動かした。
そして何気なくDVDデッキを視界がとらえる。
はっきり言って、今朝のことなど忘れていた瞬間だ。
明るくなった部屋の中で、弱弱しくデッキは緑色の光を点滅させている。

ああ、やっぱり付いていたのか、 ボンヤリと記憶は蘇る。

そして立ち上がって、電源ボタンに手を伸ばしたときに、
体じゅうに鳥肌が立った。

そこには数字が
0:00:00
こんな感じに数字の羅列が並んでいる。

言われてみれば、DVDデッキの電光表示など それぐらいの長さしか表示出来ないはずだった。 電源が入っていたにしろ何にしろ、 表示は数字、もしくはno diskの警告ぐらい たぶんそんなところ

しかし私は、もっと長い表示を知っている
もっと、何かの一文のような、そんな文字の表示を確かに知っている。
今朝、見た。
いや、実際には見ようとして途中でやめたはずだった。 なのに知っている。
この表示ではなかった、と体中にささくれだった鳥肌が物語っていた。

これではない、今朝震えたのは
これではない。
そして思い出すな、絶対に思い出すな。

今思えば、寝ぼけていたのかもしれない。
でも過ぎていく日々、それを触れずに過ごしてきた今日も、あれを見なくて良かった と心で思っている自分が居る。
何だったんだろうか?
でも本当は、この目はあのとき、あの文字を確実にとらえてしまっていた気がする。
そして、その内容は絶対に思い出してはいけない気がする。

そんな怖さってないだろうか。
本当に気持ち悪い夢だった。

そして今日もまだ、DVDデッキを見るのがたまにこわい。
一体どんなことが表示されていたら、自分がこんなに怯えるのかは分からないし、 何故DVDが付いていたのかも結局分からない。
自分の行動すらも把握出来ず、こわいものが何かも分かっていないなんて、あたしはなんて愚鈍な生き物だ、 とも思うけれど、もう当分は分からないでいいです。
そして出来る限り、そんなものに答えがなければいいな、と思うし、

そんな文字列はもう
二度と見たくない
by aoi-ozasa | 2006-01-01 00:00 | 2005-2006
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25歳なりました。日記は長いです。覚悟してください。
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