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2006.07.24 「姫ごと」
あたしの知り合いはとってもスタイルが良い

たぶん私をひとまわり超えるであろう年齢を、会話の内容で予想は立てられるけど
その姿からは見分けるのはむずかしい。

でもゴボウみたいだ。
とあたしは密かに思っていた。

手足が細くて長くて、細い胴体からスラッと伸びている。
間接なんかは今にも砕けそうで、華奢な体が美しく、羨ましくもあったんだけど、
なんでかゴボウみたいと思わずには居られないでいた。
もっと言えば、もしかしたらゴボウみたいな知り合いなんじゃなくて、
知り合いの顔をしたゴボウなのかもしれない。

そしてこれはもちろんここだけの話で
あたしはこの隠し事と、日記を守るためにも
絶対に彼女にこの日記を見られてはいけない。

でもそれは、ゴボウと言われたことで、
とんでもない仕打ちをされるのが怖いのももちろんあるんだけど、
ゴボウにゴボウと思ってることを知られることが可笑しくてしかたなくて
たぶんそういう意味でも
とてももう一緒に居れそうにはないから。


ある有名な小説家さんが言っていた
正しくは、その小説家さんが描いた女性が言っていたのだけれども、
それはたぶん小説家さんが言ってるのと同じだ
『動物と人間の違いって分かるかしら?
言葉も、知恵も、思考も、社会の秩序も、それぞれ程度の差はあっても、他の動物だって皆持っているでしょう?信仰だって持っているかもしれないわ。
人間はまるで他の動物と本質的な違いがないみたいでしょう?
ところがね、ひとつだけあったの。
それはね、
秘め事というものよ。いかが?』

なるほど、この小説家はなんと頭がよくて、なんとお洒落なことを言う。
これは昔考えたことがあったのだけれども、そういうセンスに乏しいあたしはとうとう答えをひねり出すことが出来なかったのだ。
罪の意識だとか、哲学だとか、自殺だとか言われるよりも、ずっとずっと納得できた気もした。

ひめごとか。
そう思うと心がワクワクする。

たぶん世に居る人間達は何かしらひめごとを持っている。
それが何を意味するもので、どんな価値があるのかも分からないけど、
それがなんだかとっても素敵なことに思えた貴方はきっと、
おとなのひとです。

隠し事はいけないよ、
そういうあんたも何かを隠してる。
隠し事なんてないわ。
そんな貴方も何か忘れてる。

そう考えるとニヤけてしまった私はど変態で、頭がおかしいのかもしれないけど
甘さが抜けて、酸っぱさのたしなみを少しは理解できるようになったのかな、と思った。

今思えば、隠し事が苦手だった。
罪の意識だったり、嘘で嘘を重ねることがなんだかとっても苦痛に思えても居たから。
だいたい幼稚園のときに水筒の蓋の開け方も分からなかった私が、そんな高度なテクニックを駆使できるはずもなかったし、
皆さんに言えない様な、もの凄いひみつを所持したこともなかった。
それにあたしはなんでもかんでも話したがったので、どれを話して、どれを話してないかなんてだいたいいっつも把握できなかったし、
もの覚えが悪いから、どうせすぐに忘れてた。

どんどんどんどん言えないことが増えてくる
どんどんどんどん独りぼっちになってしまう。

そうは言うけど、ひめごとっていうのはそうもののことじゃない。
言えるけど言わないから秘め事。
またそれを貴族のような気持ちで誇り高く、持っているのが姫ごと。
そんでもって初恋をしたときのように純粋で汚れないからひめごと。
自分の中で可愛がってあげれる程度のものがひめごとです。

それはもちろん自己満足だけど、とっても楽しい。

ひめごとがある人は、たぶん世界を二個持っていて、
そのひめごとを境に行ったり来たりが出来て、
ひめごとがバレそうになったり、誰かに打ち明けてみちゃったりすることで、そんな世界を覗かしたり、またもっと素敵なものに出来ちゃったり、
とにかく楽しいったらありゃしない。

今のあたしの秘め事、
スタイルのよい知り合いがどうしてもゴボウに見えるということ。

ああ、それだけで
もう考えるのが楽しいったらありゃしない。
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by aoi-ozasa | 2006-01-01 00:00 | 2005-2006
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25歳なりました。日記は長いです。覚悟してください。
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