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2008.07.28 『まよなか』
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真夜中、中央環状線を走る。
時計を見ると深夜2時をまわっている。
眠気のせいか、少し頭がぼんやりとする。
数時間前、友達の家での出来事を思い出す。
なんだかがらんとした印象の道路は、
自分のすぐ目の前の道だけがぼんやりとヘッドライトに照らし出されて
ここだけを注視するようにと、よそ見をする隙を与えない。

私には、こんな風に
直径ほんの数メートルの間合いほどの世界しかないが
限りなく広い夜からするとこちら側はとてもよく目立つことだろう。
直線状を発光しながら駆ける姿は光陰の矢の如く、
その空間を切り裂いて
まるで身体を絶えず燃やしながらしか生きられない生物のようだろう。
だけど彗星のようなスピードもなく、随想だけを引き連れて、
衝動は、理由にはならないか、
感情は、根拠としては不十分か。
ならばこの足を進ませる原因はなんだ
その足を止める意味はどこにあるんだ
君はそのことに気付いていたか


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先日、また一人家族が増えた友達の家にやっと訪問することができた。
一人めよりも、より彼女に似たまだ首も座らない小さな赤ちゃんは
大きな瞳をきょろきょろさせて、たまに手足をじたばたさせては
まるでその精度を試すかのように、全てが覚束なくて愛くるしい。
美味しくて思わずレシピを教わったパスタと、3歳になる長男と一緒に作ったという
チーズケーキをご馳走になって、声が枯れるぐらいおしゃべりをした。

家のあちこちに手作りのハワイアンキルトの小物が置かれている。
子育ての合間に趣味で作っているものだとは言うが、
言われなければ手作りだと分らないほど、
その完成度は売り物になるぐらいだと私は声に出して思った。
子育ても二人目となり、だいぶん慣れたという彼女の笑顔が
もうすっかりお母さんで、うれしかった。
両手をバンザイするような感じじゃなくて、
なんか、こう、眠る前にふと思い出して口元が緩んでしまうような
息も凍る真冬の日に、そっとほうばるほかほかの焼き芋のような
そんな有難いうれしさだった。

また、会いにいってもいいかな。
まさか自分の子供のようだなんて、思い上がりはしないけど、
お日様に焦がれる草木や、誰かの幸せな思い出の一部を共有するように
そんな風に愛してもいいかな。


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まよなか、

空が空ける前の鳥の鳴き声を聞きながら、喘息気味の咳を喉元に押し込める。
もうすぐ新居となる家の裏の公園で、夜鴉たちが会議を始めている。
漆黒のボディは暗闇に紛れ込んで、その数はおよそ見当もつかない。
その声の1/5ぐらいのボリュームで恋人の小さな寝息がきこえる。
知らない虫がジーーと鳴く。音と音が擦れ合って、かさなり合う。
夜は静けさもなく、そして確実にその深さを増して
色はなく、だけど黒色に塗りつぶされたキャンバスの下に拡がる七色の世界のように、
華やかにダンスしているよ。

魂というものがもしあるのなら、
きっと全ては今、眠りについた身体を置いて旅に出ている。
遠く、ずっと会いたかった人に会いに行ったり、
今も近くにいる人とまた手を繋いだりする。
空を浮遊して、旋回して、その大きさに畏怖を感じながらも
全てを手に入れたみたいに、心も身体も無限の一部であることを歓喜する。
そして、いつか行かなければならない人生の終着点みたいな場所の片鱗に少し触れて、
まだそこに時間と距離があることを感じ
私たちの旅の終わりに、きっと寂しさという概念はない。


目が覚めた瞬間に、
全てを忘れてしまっていたとしても、今はそれを哀しんだりしない。
なんだか、忘れてしまったけどとても心地よかったんだ。
そんな推敲もせず、とてもありふれた思いだけで1日をはじめてゆくことが
どうしてかどうしても納得がいかなかった10代の頃。
あの頃よりも少しは大人になったかな。
理由しか愛せず、理解と信頼をそこにしか置けなかった私の許容量は
本当に少し、少しずつだけど拡がって
その境界線を曖昧にして、
今はまだ照らされることのないスペースの存在を知る。
終わり方を知らない物語のページを繰りだすように
こころにもまた、未知の響きが備わっていることを嬉しいと思う。

そうやって
そうね、新しい地へ

まるで祝福のような真夜中の色
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by aoi-ozasa | 2008-07-29 02:39 | Daily life
2008.07.21 『そんな風に知恵をひとつ』
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殺人的な太陽
高熱ほどの気温
サウナのようなぶ厚い湿気

梅雨明けと共に恐ろしいほどの猛暑が前置きもなく訪れる。
雨は、どこへ行ってしまったのだ。
諸準備できなかった人間達は、ひたすらクーラーのボタンに手を伸ばし、
あれ、でも夏を前に諸準備することなんてあったっけ?
と能天気なことを考える。
ただ終わりない季節がまた巡ってきたにすぎない。
冷やこい風がその思考を沈下させてゆく。融解してゆく。
文明の利器たちは私たちに優しく、
世の中はなんと便利なのだ。


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本屋に立ち寄ると夏の文庫シーズン
古き良き文学たちが新しい装丁を纏って積み上げられていた。
幾つかを手にとって、谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」を購入。
その夜に恋人と会って、本について意気投合。
次の日のデートでは、辞典ぐらいのぶ厚さの作品集を二人でお金を出し合って買う。
すばらしい言葉の羅列よ、その魔法たちよ、私たちの血となれ肉となれ
知識となって、誰かを幸せにすような力になれ

夜に「潜水服は蝶の夢を見る」を観る。
実話を元に創りあげられたというこの作品は
一言では語りあげれない素晴らしさがたくさん詰まっていた。
俺ってば泣くんじゃないかと杞憂していたらしい恋人も、
同じく、わたし泣いてしまうかもしれないと断言していた私も
涙は一筋も流さなかった。
ただ息を飲むようにじっとその二時間強を過ごす。
その間、叫び声をあげることもなければ、口をあんぐりさせることもなかった。
外に太陽が猛烈に火を放つのをカーテンで遮りながら
時々煙草に火を点けて、終わった後に少しだけ話をした。


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詩を読み、映画を鑑賞して
残暑を避けるべく、秋のような初夏を過ごしている最近。
誰かが日記にしていた
「頭は、戦うためについてるのではない」
ということに強く同感を得た。
あるときは何かに立ち向かっているようなその能力も
あるときは誰かを傷つけてしまいそうなその姿も
ふんだんに詰め込まれた知識も
そうでないときのためにあるものじゃないのか。
だけど、そうであって欲しいと願うのは
エゴと野暮の織り成す生温い祈りでしかないのかな。
手前勝手な日々の焦燥にしか過ぎないのかな。


近所に美しく咲き乱れていた紫陽花がとうとう枯れていた。
梅雨がおわったのだ。
知らないおばさんがそれを眺めている。
どんなことを想っていたのか、私に分かるはずもないけれど
黒くミイラのように干上がった花びらをそっと撫でる指先が優しくて
まるで「ありがとう」と言っているようだったから
なんか泣きそうになった。
何に対してそんな風に感謝をしていたのか知るよしもないし
感謝していたのかさえ確信を得ないけど
あんな風にありがとうと言われてしまったら
私ならきっと泣いてしまうよ。

ありがとう、その反対語は「当たり前」だそうだ。
もしも彼女があの時
そんな風に何かに感謝をしていたのならば
私もまた、傲慢故に塗りつぶされてしまいそうになるその温もりを
どこまでも大切にしてゆけるような人間でありたい。


しかし暑いな
夜になっても収まらない太陽の猛威は、
恩栄を越えて排撃ですらあるね。
さすがにもうクーラーなしでは眠れないや
でもあれは、空気をとても乾燥させるから
やはり諸刃の剣といったところか。
でもここに選択の余地はないからね、別の最善策をとるしかないね。
そんな風に知恵をひとつください。
熱帯夜でした。
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by aoi-ozasa | 2008-07-21 21:27 | Daily life
2007.07.17 『ソレイユへ告ぐ』
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北か南か、それとも東なのか西なのか
その中のどれかの方角の空がパパッと2度ほど光る。
たった一瞬、瞬きするほどの時間なのに
その光が瞬間に空を駆け巡ったのが分かる。
光のマント、拡げたみたいに世界じゅうが明るくなる。
それはなんだか、チック症気味のまばたきをかましつつ、
室内のスタジオで露光計を使ったときみたいだ。

また別の方角には、
漆黒の闇の向こうに、隔てるものなど何もなく、
だけどうんざりするぐらいの距離で星が輝いているというのに
実はもうすんごいクリアーなガラスの壁がこの間にはあって
そう、光がその壁を這って
ここに境界線があることを教えている。
この場所が、重力の行き届いた部屋の中であることを教えている。


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雨ふったりやんだり

いちいち天気が変わるから
一日の天気予報なんてあてにもならず、
気象庁の職員の運動会が、誰も予報できなかった雨で
駄目になってしまうことを思わずにいられない。
ははは。走れ、走れ。濡れたくなければ。
また、私の気分もそれによって多少は浮き沈むから
せめてメーカーさんは、湿気に響かないスタイリング剤を開発していただきたい。

毛の伸びるスピードがもはや魔獣並みのギズモもお部屋でぐったり。
さいきんのお気に入りの場所。角っこ

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こないだ、何もない日に彼氏が突然プレゼントをくれた。
コズミックのペンダントは大きめの丸いプレートがかわいい。
似合うかな、
って言ったらなんか猫みたいって言われる。
首輪のことかな、
なんなら毎日添い寝致します。
ありがとう。うれしいよすごく。

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北か南か東か西かの空がまたパパッと光る。
今度は音を引き連れて、地鳴りもとい天を揺らす。
猛獣系の動物が喉の奥で鳴らすような
いつかのタイミングで牙を剥いて襲い掛かってくるような不安材料たっぷりの音
どんどん現実味を帯びて、こっちに向かっているのが分かる。
その動き、まるでスローモーションみたいだ。
逃げても逃げても、どこの方角から来てるのか分からないもんだから
どこへ逃げたらいいのか分からない。
とりあえず、小さな箱の中にぎゅうぎゅうに納まりたい気分。
そして箱の中にまた箱を作って、大切なものをこっそりしまっておきたい。
鍵をかけて頑丈に

世界の箱の中のまた箱へ、まるでマトリョーシカみたいなんだな


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7月も折り返し地点
最近早起きが日課になった。
箱から箱への移動。晴れるのは嬉しいけど太陽はなかなか厳しい。
箱のことを考えていて、CUBEという映画を思い出した。
人間が箱から箱へと移動しながら、最後の大きな箱を脱出する
というスリリングかつエンターテイメントな映画だ。
箱を移動する彼らには一貫して、一つの目標と希望がある。
未知への世界の扉を開きながら、いつか、そこから解き放たれることを胸に抱いている。
出口なんて本当に存在するのか
でもそこは一縷の望みを託すのだ。
なければ作ってしまえと少し乱暴かつ大胆に。
そうやってみんな開拓していくんだな。

箱から出ても、そこはまた箱だけど、
そうやって人間は、その現実に挫けてしまわない限りは、
無限の想いを失わずに居られるのだろう。
死ぬまでに、いったい幾つの箱を開いてゆけるかな。
いつかあのガラスまでも乗り越えて人類は進化してきたんだ。
閉じるより開く方が
よっぽど勇気が必要だとは思わないか?


気が付くと雨。
世界の境界線を映し出していた雷はいつの間にか消える。
ほんの少し気温がさがった。
雨が湿気を連れて行ってくれた模様。クーラーなしでも寝れそうだ。
もうこんな時間。明日も早起きだからそろそろ寝るよ。
しかし、いい。
早起きはいい。
皆も是非試してみてください。
オヤスミー
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by aoi-ozasa | 2008-07-18 02:50 | Daily life
2008.07.15 『知りたい』
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月曜
朝、少し早めに恋人の家を出る。
新しい第1週の幕開けにほんのちょっと早起き。
とはいっても、予定よりも1時間遅い出発。
思ったよりも道路は混んでなくて、予定時刻にさほど遠のくことなく家に着く。
よい天気。快晴というのかな、言うんだろう。これで一つも雲がなければ。
あまりに広くて蒼いから少し不安になってしまうような本日の空。
うん、でもまぁ、いいね。
いい感じだ。

わき道を曲がり、少しスピードを緩めて
そのやんわり流れる見慣れた景色の中に、ご近所のマダム達の姿。
何やら楽しそうに井戸端会議を開いている。
ボンジュールマダム。
本日もいい天気ですね。

膿んだように膨れ上がった腹を抱えて、
岩のように固まってしまった眉間に皺を寄せて
時々妙に深刻にその声のボリュームを下げる。
だけどヘッドフォンの当て過ぎじゃないのか、
通り過ぎてもまだ聞こえてくるよ。その会話、聞きたいわけではないけれど。
私にも馴染みのある名前や土地、
ここいらを支配する数々の名詞が下世話な形容詞に肉付けされて飛び交う。
心地よく挨拶などしてみたものの、こちとら朝帰り。
たった今、たった今ね、恋人とお別れのキスを交わして
とっても心地よい太陽を全身に浴びたところ。

浮き沈みの激しい、黄色が黒く濁ってしまったような声を背中に、
世界にはあたしの認めたもんしか存在してないわ、ってなぐらい
自分の世界ってもんの中心を支配しきっていた彼女たちの若かりし頃、
そしてそれを経た今の光景。
知るはずがない、私が知るはずはない。
その間にいったいどんなストーリーがあったかなんて。
ただ、ふいに頭をよぎってしまった。
何かを貪るように、でも満たされきれない人たちの中に
深く強く、根付いている何か
その刹那にも似た感情。



嗚呼、それでもどうしても知りたいの
あんなことや、こんなこと。
分からないの。ねぇもっと話しましょうよ。もっと教えてよ。
あの人のことや、その時のことや
そんな話や、あの言葉を言って
私が知らない、私の世界の出来事を!



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知りたいという欲望はどこからくるんだろう。
目線があった瞬間から、その姿を追うことをやめられなくなるように
だけど、いつしかそれじゃ満たされなくなってしまうように
その強烈な渇望は時に
理性をのっとり、思考を奪い、
自分が大切にしてきた、最低限の道徳心までも壊してしまう。

「知りたい」

私は今までに何度か、それに支配されてしまった人を見たことがある。
四六時中、答えのない問いを繰り返し繰り返し
何度も自分が想像出来る範囲の最高の答えと、最低の答えを
交互させては壁に頭を打ち付ける。
どっちだ!? もはや二択。


だけど世の中には知りようのいないことがたくさんある。
それは知識や、経験や、情報なんかのくくりに収まりきらないような
もっと複雑なこころを誰しもが持っているからで、
そして知りたいという心もまた、同じように複雑で
それを肌に感じたときには、もう一つの答えでは収まりきらないのだろう。

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「知りたい」という感情の結末は、
どちらかというとハッピーエンドが少ない。
答えを得た瞬間に、
知識であれば振りかざし、情報であれば踊らされ、感情であれば支配される。
答えを得られなかったときは、ただ忘却の彼方へ押しやるだけ。
強烈な閃光を確かに肌身で感じたのに、初めからなかったことにするだけ。
そしてどんどんと貪欲に、どんどんと罪深く
知りたいとは、手に入れたいと同じことなのだ。

だけどその哀れな欲望たちも生まれた瞬間は、可愛らしいものだったに違いない。
きれいなものだったかもしれない。
ある時は本当に必要で、あるときは慰められることもあっただろう。
そしてある時は、深く後悔をした。
その中身じゃなく、愚かしい自分自身のその欲望の浅さに。
俗で好奇的なその衝動に。


今もなお、こんな私にも知りたい、と思うものはたくさんあり、
でも何でもかんでも詰め込んでいたときに比べて
少しずつその欲望でさえ厳選されてきたようにも思う。
それが世間が狭くなったということなんだとしたらそれは嫌だけど、
でも、自分の欲望が何で出来ているのか
本当に、いちばんに望んでいたことはなんだったのか。
それを少し念頭に置いて、一息する。
盲目的な衝動買いをやめるみたいにね。
もちろん完璧にとはいわない。
ただ、そういうのを少しは考える。
そんな風に少し、待てをかけられるようになったことは評価したい。
時々訪れる、知ったことをこの上ない幸福だと思える場合のような、
もしかしたら、これが知りたいのハッピーエンドを作るかも。などと。

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見上げれば、
あまりに広くて蒼いから少し不安になってしまうような本日の空。

なぜ、こんなことを長々と書いたのかよく分からない昨夜
夜に書いた日記や手紙の類はどうしていつもこんなに混沌としているんだろう。
限りなくさようならに似た、
おやすみなさいで閉じてしまうことを、どこか意識しているからなのかな。
それとも何か気に喰わないことでもあったんだろうか。
一夜あけてしまってもう分からない。
まぁでもそれは知らなくてもいいか。
よく分かんないままで残しておくのもいい。

さぁ、支度してでかけます。
今日も何かを思い、何かを忘れ
色んなことに葛藤しながら
それでも知りたいと、強く切望をして
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by aoi-ozasa | 2008-07-15 10:42 | Daily life
2008.07.11 『でかける前に』
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出かける数十分前

打ち合わせのために必要な書類を用意して、
それが思ったよりも早く終わったので、今日も日記を書くことができる。
急がなければ、化粧をする時間がなくなるよ。

ギズモは最近、外をよく憂うようになった。
恐らく何も考えてはいないのだろうけど、
その表情から、ほんの少し何かへの想いが読み取れる。
外、かつお、ねずみ、毛布、たいよう
ギズモの好きなもの。
それどれかと今日もリンクしてやがんだ、かわいいやつめ。

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昨日は本当は友達の生まれたての赤ちゃんを観にいく予定だった。
でも色んな諸事情で行けなくて残念。
どっちにしろ、プレゼント用意できてなかったから
また来週あたり、時間を作ってご挨拶に伺おうと思っています。
プレゼントに何かいいのないかな、って見つけた
tongaのベビーホルダー、いわゆる抱っこひもというやつですな。
こいつは安くてかわいい。
カラーバリエーションが豊富だから迷ったけど、
長年の付き合いでも好みなんてよく分かんないので結局オフホワイトにしました。
サイズもあるし、いいかも。
あと、アモローサのオーガニック製グレコ
まるで子供の悪戯描きのような間抜けな動物の刺繍が
超かわいいです。
喜んでもらえるかな~
まっててね。

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最近、同棲を前に(諸事情により8月からすることになりました。)
服や靴以外の色んなものにお金をかけてます。
でも本来、そういうのにお金をかけるのが好きだからちっとも嫌じゃない。
そもそも、こういうののほうが長いこと使えるんだし、ねぇ。
マルニのラバーサンダル欲しいけどね・・我慢我慢。

アマダナのドライヤーは風量が多くて手を離したまま使えるのでとってもいいです。
別売りのホルダーの必要性が全く見えないけど、おすすめ。
Le ddのLOTTO SPORTS開発の特殊な織布で作られたスリッパは
なんだこれ、っていうぐらい作りがちゃちいですが
軽くてとても便利。ラッピングが真空パックでかわいいのでプレゼントにいいね。
エレクトロラックスの掃除機は本体を取り外して小型に出来るのでこれまた便利。
コードレスで楽だし、の割りにそこそこパワーはあります。
母にプレゼントしようと思ったら、私ほうき派だからいらないと
強く言われました。
ほうき派って何やねん。
憧れだった大きな木製の鏡も届きました。これでファッションショー心ゆくまでします。
恋人にはキャピタルの靴下あげました。
履くとスニーカーからカラフルな色がちょっと見えてかわいい。
服装がシンプルだからよく似合ってます。
ああ、お金がない。
おかげでCDや本に回す金が作れません。
飲む金もないです。
だから誘うときは奢ってください。堂々と!

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おっと、もうこんな時間、
そういや山海塾が2年ぶりに公演するんだって!
行ったことないし、兄のおすすめだったのでいきたいなぁ
興味ある人もぜひ!

今日はイチです。がんばって買い付けてきます!
いってきます!
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by aoi-ozasa | 2008-07-11 10:48 | Daily life
2008.07.09 『その色』
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スコールのような雨がひとしきり降った後、
やがてそれは霧状に拡散され、
蒼然とした雲の合間に時々、放射能のような刺し色で太陽を覗かせた。
少し日が暮れてくると、それはピンク色に喰われ、だいだいに変化して
空と呼応を始める。
その絶妙な色加減が、何か甘ったるい砂糖菓子の中に包まれているような心地で
辺りの空気はまだ少し重く、体中に湿度を覆って息苦しくも感じられる。

そんな金平糖のような空の中を鴉が一羽、
風をくださいとないていた。
私が、朝起きて歯を磨き、食を採り、眠りにつくように
歌を歌い、文を書き、散歩に出かけるように
お前の羽もまたそんな風に出来ている。
どんな褐色の空も、意識せずとも他愛なく、縦横無尽に飛び跳ねれるような
人が皆、憧れてそれでもどうしても手にすることが出来なかったものを
お前の背中はちゃんと宿している。
あとは、はばたくだけ。
滞った世界に自ら風を起こして
あとははばたくだけなんだ。


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ペダルを漕いでジグザグに走った。
京阪電車の高架下を残り雨が滴って、打楽器のようなリズムを打ち鳴らしている。
それにぶつからないように、じょうずにくぐり抜けると
変な色の空が視界に拡がった。
奇妙な色具合だな、とは思いつつ、
なぜ自分がこれを変だと思ったのか、ふと不思議に思った。
変だとか、奇妙だとか、不可解だとかいう概念を
どうして私達は持ち続けてしまうのだろうな。
見慣れないものに対する抵抗や拒否をする度に、
自分が狭義でしか生きれていないことを実感する。

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私の知り合いの中に、
自分をどうしても変だと他人に言い聞かせたい人が居る。
何かにつけて話をする度に、
ああ、俺は変だから、と少し自嘲気味に笑う。
それは、時を経て刻まれた刻印のような皺や
長いことそんな笑い方をしてきたために強張ってしまった筋肉が
ギギギと、錆び付いた扉を開けるような、
人に不信感を抱かせるような笑顔だった。
俺、変なんだよ、変だろ、そうだろ、変なんだよ。
そんなに何度も言わなくとも、貴方が変なのは分かっている。
貴方が思う以上に、みんな貴方のことを見ている。
時々、趣味を問われて、人間観察と答える人が居るが、
それは趣味ではない。
あれは、誰しもが無視することの出来ない
知恵であり、コミュニケーションであり、生きる術なのだと私は思う。

しかし、その人があまりにそれを何度も言うので、腹が立って
私はその言葉を奪ってやることにした。
自分を変だという隙を与えてやらない。
俺、変なんだよという前に、
変ですね。貴方、変ですよ。
すると、ぱったり言わなくなった。
それどころか、少しむっとした表情を浮かべるようにもなった。
まさか喜ぶだろうと思っては居なかったが、
こうも効き目がよいと少しバツが悪くなる。
それ以来、私たちの間には、変という言葉を避けるような空気が生まれた。
数あるうちのたった一言の単語を避けるだけのことが
こんなにも居心地が悪く、息苦しいものだとは思わなかった。
だけど、会話じゃなかった、今までのあれは。
貴方と私の間に、「変」だという会話は初めから成立していなかった。
まだ生まれてもいなかったんだよ。そんな気がしていただけで。

奪ってしまったお詫びに、今度は私から言うよ。
昔の恋人と元のさやに収まるかのようだね、まるでこれは。
わたしたちはうまくやり直すことができるかな、
あざとさや、したたかさを含まない、純粋な言葉で
もう一度、わたしたちの間に必要なはずの概念を、
今度はより望まれた姿で。

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最近(といってもこの2日だけ!)
朝用意する前に少し早く起きることをしている。
眠る時間はあまり変わらないので、
単純に睡眠時間が削られているのだけど
苦手だった朝の時間は思ったよりも素敵なものだった。
夜と違って、色んなものがよく見えるし、よく聴こえる。
その分邪魔されるような煩わしさも少しはあるけれど
思ったよりもすぐに慣れる。
真実であれ、若き人々よ、
自分の感じることを表現するに決してためらうな。
友はやがて君たちのところにくる。
これはロダン。素晴らしいことを言う。
奪われてしまうな、五感を、このように素晴らしい時間を。

今日は28日後をもう一度観ようw
それにしても今日は本当にいい天気だな。
そらの色が明るいや。
そして一日が素晴らしい幕開けをする。
挨拶が遅れました。
皆様、おはようございます。
今日も素敵な一日を!
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by aoi-ozasa | 2008-07-09 10:41 | Daily life
2008.07.07 『七夕の日』
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駅前の、
薄暗い高架下の鉄柱にくくりつけられた笹の木が、
初夏の生ぬるい風によって揺れ動き、サラサラと葉をなびかせる。
その音に、体育館から漏れるリヴァーブ音のような響きはなく、
ましてやロックミュージシャンのような爆発的な世界観などない。
それはどちらかというと、どんな空気にも溶け込んでしまえる
耳を澄まさないと聴こえないほどの川のせせらぎや、幼子の安らかな寝息や
ふと、忘れてしまいそうないつかの線香花火のような
本当に小さな、寂莫の風のような音だった。

その中のひとつに、「てつぼう」と書かれた短冊があった。
あまりに可愛らしいそのお願い事に、恋人と思わず笑ってしまった。
恐らく、鉄棒がうまく出来るようになりたいんだ、
などと、そのお願い事を自己完結させるのには数秒もかからなかった。
事実は当人でないから分からない。
鉄棒が欲しいのかもしれないし、鉄棒を知りたいのかもしれないし
実はこの単語は、鉄棒とはあまり関係ないのかもしれない。
ここからそれを知るためにはいろいろなものが欠けすぎている。
でも私が七夕の神様なら、きっとこのお願い事を真っ先に叶えてあげたい。
何だかわからないけれど、彼女が強く望んだ何かを
深深と、深く星にお祈りしてあげたい。


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昨日深夜、恋人を招いた部屋の中
たまたまつけ放しにしていたテレビの中で
イルカがなごり雪を歌っていた。

歌詞にあるような経験はないくせに、
どこかで同じような想いを抱いた記憶が蘇り、
誰もが一度はマイクを持ったことがあるほど聴きなれた歌なのに
ふいに流れるメロディーに私は、今も少し胸があつくなる。

知らなかったけど、この歌は昨年亡くなった彼女の夫が作ったものだそうで
何年経っても変わらない彼女の素朴な身なりや、
少し透明感のある声や、そんなどこにでもありふれていそうな歌唱力が
とてもよく似合うな。と私は思う。
彼女の夫が作ったと聞いてより強くそう思った。
この人の歌はこれしか知らないが、
でもこれは彼女そのもののような歌だ。

君が去った
ホームに残り
落ちては溶ける
雪を見ていた

この歌にはいろんないいところがあるけれど、
ここが一番すばらしい。
ここを聴いただけで、色んな情景が心の中に溢れ出してくる。
この曲には、哀しいや、寂しいや、辛い
といったような心情を直接表すようなリフレインがひとつも使われていないのに
ごくありふれた動作表現がそのどれよりもリアリティがあって
曲の裏側にあるもう一つのバックグラウンドミュージックのように
絶え間ない響音を奏でている。
それは、代弁を遥かに越えた一つのパーソナリティーのようだ。
私たちはつい、言葉で示すことに執着してしまうけれど、
爆発的な、あるいは消え入りそうな心を、
幾通りしかない言葉たちの中に収めてしまうことだけにこだわるのも、
そればかりを求めてしまうのも、少し幼なすぎる気がする。
これはひねくれもののお粗末な末路にすぎないかもしれないが、
私は、「哀しい」という言葉の響きよりも
それを堪えるために握り締められた掌をセクシーだと思うし、
またそれを解く仕草に、言葉以上のこころを感じる。
どんな言葉を持たなくとも、伝わる術がきっとある。

私たちはいつも全身でコミュニケーションをとっているのだな。
たとえ触れ合わなくとも、たとえ一言も言葉を交わすことがなくとも
ジグソーの最後の1ピースは言葉じゃないもので締めてしまいたい。
太陽の恩栄を受けて、芽吹く草木のように
愛している人に、
愛しているという言葉以上の何かをもらうのと同じように。


今 春が来て君はきれいになった
去年よりずっときれいになった

いつか今まで捧げた言葉のぜんぶ、嘘臭く、色褪せてしまっても
季節が巡る度に、また同じようなことを思うのだろう。

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そういえば昨日待望の「28週後」を観た。
ダニーボイル、懇親の連作。すげー好きだー
でもひとりで見なくてよかったー。
馴染みのある曲が多いせいかもしれないが、サントラのセンスがいい。
今度買おう。

あと数時間で7月7日が終わる。眠る前では少し遅いから
今から何かお願い事をしようかな。
欲深いから一つに絞るのが難しいな。
ベガとアルタイルは会えたんだろうか。
しかし星がひとつも見えない。
どっちでもいいか。
そんなことはどっちでもいいな。
私はいま、てつぼうのことで頭がいっぱいだから。

窓から心地よい風が吹いている。
四角い紙など持たなくとも、貴方の想いはちゃんと伝わる。
メロディーが放たれ、そのリフレインに誰もが想いをはせる。
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by aoi-ozasa | 2008-07-07 23:08 | Daily life
2008.07.03 『イントゥーザ・シーアゲイン』
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音に呼吸がある。
色のない真夜中に響くピアノの音色は、
どこか透き通っていて、遥か高原の空を突き抜けるような、
暗く光のない海の底から見上げた海面のような
汚れない聡明な青を映し出した。
目をつぶって、深く呼吸をして、
自分と世界との境界線が曖昧になったとき、
遠い過去の記憶を探るかのように、かすんだ色が重ねられ、
まだ見ることもない、自分が死ぬときの光景までもが浮かんだ。
イメージは続き、または失われ
終わりに向かってフェードアウトしていく頃には
そこで得た全ての色が魂に付随したような気がする。
私は、美しいひとときをくれた音楽の神様に感謝する。
私にも、こんな時間をくれてありがとう。
たくさんの色と音をありがとう。


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人には様々なリラックスタイムがある。
ある人はアロマを炊き、ある人は風呂に浸かり
ある人はただ、迷路のようなものを紙に書き続けることにのみ、
最上の癒しを感じるのだという。
皆、自分がどういうことをされるのかが嫌いかということを認識しているのと同じように、
自分を最も心地よくするやり方を知っている。
それがどれほどお粗末で、他人には理解しがたい方法であっても
それだけは、誰かに教わるものではなく
生まれたときから、もしくは生きるうちに身に付けた
自分自身への愛し方なのではないか、と私は思う。

孤独だね、
という人が居るが、そういう人は孤独の意味を誤解している。
少なくとも私にとって、孤独とはそういうことじゃない。
孤独という響きに、
自分すら、愛せぬ人こそが本当の孤独なのではないか、
とそんな風に感じるからだ。


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特にこれといった多忙さもないくせに
最近、心と身体が激しく消耗しているのを強く感じていた。
いくら眠っても疲れはとれないし、
ただ、自分の上を朝と夜が絶え間なく通り過ぎているような感覚だった。
ベルトコンベアに乗ってただ運ばれてゆく工業商品のように
自分が何の一部であるのかも、何を意味するのかも、
分からないままあれこれと手を加えられて、それはもうまるで、
わけもわからず呆然と消費されてゆく産業廃棄物のようでもあった。


時間の使い方がうまい人ってすごいな。

大人になって、自分の足りなさを感じさせられてばかりだが
こればかりは、本当にまいった。
労働は嫌いじゃないが、一日が24時間しかないことを恨むことしかできない。

とは言っても、私には食べる時間も眠る時間も
生きていくのに必要な分以上に存分に用意されているというのに、
それをうまく分配出来ていないのは、間違いなく自身に問題がある。
それまでどれほど温いモラトリアムのアフガンに包まれていたかを痛感する。
そしてそれが今デフォルトされつつあることにも気付いている。
わかっている。わかっているから哀しい。


感覚的に物事を進めるのが苦手だ。
どんなことにも、計画性が必要で、それを実行に移す準備期間が要る。
アホの子だからだ。
アホの子だから、一回紙に書いてみないとよく分からない。
一度、頭をリセットしなければ先へ進むことができない。
私はいつも、登場人物がたくさん出てくる小説を読むときには、
何度も頭の中で整理をしないといけない。
映画でわけがわからなくなったシーンは少し巻き戻して
もう一度観なければいけない。
だから、給料の使い道をノートに書き起こすように
たとえそれが計画通りにいかないことを知っていても
一度こうして、自分の日々を書き記してゆかなければならない。
もう一度、自分がやろうとしていることを決意する必要がある。
それが本当に出来るまで、台本が擦り切れてしまうように
何度でも、何度でも。

そんなこと望んだことはないけれど、
規則のある生活の中でしか、生きていくことができないのだ。
そしてその規則ですら、十分にまっとうすることができないのだ。

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時計が4時を指している。

まだ一日が終わっていないのに、また新しい日が昇ってしまう。
その前に、その前に
せめて数分間だけでも、音楽を聴こう。
大好きな音色に心を任せて、深く呼吸を整える。
きっと睡眠よりも肌にいい。
でもいつかは、その両方を存分に楽しめるような日々を
規則通りにではなく、それに支配されてしまうこともなく。
私はただ、自分を心から愛せる能力に誰よりも長けていよう。
それをいつかは、いつかはそれを感覚的に身につけよう。
そんなことを心に誓って眠りにつく。



#ベートーヴェン: ピアノソナタ第14番, 「月光」 - 1.

そしてイントゥーザ・シーアゲイン
もう一度、その海の中へ
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by aoi-ozasa | 2008-07-03 04:54 | Daily life
2008.07.02 『ひねりのない歌を歌おう』
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お風呂に入ることも忘れて母と談話。

深夜12時を過ぎて起きていると、悪魔に魂をさらわれてしまうよ。
(実際には我が家はコトリという奇怪な怪物がその役割であった)
と、眠りを諭されていたのがはるか昔の出来事であるかのように
同じ銘柄の煙草を何度も加え直す、よく似た姿の二人がそこにはあった。

母とは時々話をする。
反抗期だった高校時代や、二度目の思春期のような大学時代を経て、
少しずつ、素直に色んな話ができるようになった。
友達親子と言う言葉を時々耳にするが、
わたしたちはそうとは言えない。
私は、この人の腹の中から誕生したということを忘れないし、
母にもまた、
それと似たような決して曖昧にはならない親子の一線がある。

尊敬する気持ちと同じぐらいの振幅で
この人のようにはなりたくないと思ったことが何度もある。
母も、母の母に同じような想いを抱いたことがあるかもしれない。
だけど、こうして話をするごとに、
目鼻立ちや背格好とは別に、もっと内面的な部分で
私たちは似ているところがたくさんあることに気付かされる。
母がいうように、そこに宿る魂は違えど
血を受けた私の中に間違いなく、この人と同じ細胞が幾つも存在しているのだ。
それが今はくすぐったくも、ちょっと嬉しい。ばかだな。

成長を認めてもらいたくて、つい毅然とした態度をとってはしまうけれど
私の中の幼い部分は
いつまでもこの人の子供で居たい、という気持ちを代弁するかのように
自分でも時折いじらしいほどの素直さを見せる。
誰にも話せない心の内を、そっと受け止めてもらいたくなる。
母もまた、それに気付いているかのように口元に笑みを乗せる。

まず、笑い方が似ている。
人を虚仮にするような、好奇で好戦的な表情。
それは何かを蔑むようにも見えるけれど
でも同じ笑い方を持つ娘だからこそ分かる。
それがこれ以上ないほどの情愛に満ちていることを嬉しく思う。


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気が付けば7月。
世間にはまだ梅雨明けの噂が立たないが、
もしかして、知らぬ間にあけていてくれはしないかと、どこか他力本願。
近所に咲く、紫陽花の色はまだ浅く、
まだ雨季が終わってはいないことを告げる。
色が濃くなると、咲き終わりが近づいている証拠だ。

風を感じるように虚空をつかむ中、
頭の中を見覚えのある描写が浮かんでいる。
暗闇の中をやわらかと溺れかけている。
何層にも重なった黒いベールをかき分けると遠く、鈍い光の存在が認識できた。
蛍光灯に吸い寄せられてしまう虫のように、
ただそこだけを目指す。
追い風を受けるように、誰かが手伝ってくれているのが分かる。
全神経が、そこへ向かえと、祈るように全細胞に伝令する。

私に母の胎内に居るときの記憶などあるはずもなく、
そのイメージは、
誰かが描いた三途の川ほどありふれて、
記憶と見間違うほどの繊細な知識にしかすぎない。

それでも本当にそんな風ではないだろうか、と思ってしまうのは
やはり生に感謝をしているからだ。
わたしは
あの時、目指した光の中で
今めいいっぱい呼吸をしていることに
こうして母と向き合って、
世辞に疎い半人前が憎まれ口を叩くことができるような日々に
深く感謝を忘れないでいよう。

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友人に子供が無事産まれた。
まだ目も開かない生まれたての赤ら顔の写メールが届く。

彼女の子供もまた、光を見るまでには少し時間がかかり、
実際に話すことが出来るようになる頃には、
体内の記憶など積み重ねてゆく日常に消えてゆくのだろう。
ここでもきっと、
誕生の瞬間がどんな風であったかという答えは解けない。
でも別に解けなくてもいい。
彼女と共に生きるこれからの世界が
あのイメージのように光で包まれていればそれでいい。

会いに行くのがすっかり遅くなってしまった。
落ち着いたら、時間を見てその顔をみにゆきたい。
今頃君は眠りについて夢を見て
私は、ただそれが幸せな夢でありますように
そんなひねりのない子守唄を捧げよう。
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by aoi-ozasa | 2008-07-02 04:38 | Daily life
2008.07.01 『暦にない冬』
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それはまるで木枯らしのよう。

夏を目前に枯れ果てた一枚の落ち葉が、アスファルトに横たわっている。
擦り切れた雪に似た白のラインの上に乗っかって、
外の気温は、汗がにじみ出るほどの30度近い夏日というのに、
それはまるで滑らかなビロウドのカーテンにうっかり空けてしまった煙草穴のように
まるでそこだけが、季節を失った冬のようだ。

仕事帰りに通る駅前では、
老人が屍のように地面に顔を突っ伏して横たわっている。
何に乞うのか、何を欺くのか、何から目を背けるか。
世界はいつもニュートラルな立場にあって
リアリティを追求することを止めはしない。

落ち葉も老人もアスファルトも皆同じだけの光を浴びて
照り付くサンシャインはじりじりと、日増しに生命を焼く楽譜にフォルテシモを添える。
強く!さらに強く!もっと強く!
地獄の業火もさながらに
私は帰りにアイスでもほうばって、どうにかこの熱を冷まそうとする努力も虚しく、
醜く涎と汗を垂れ流して
永遠なる清涼な理想像からはどんどんと遠ざかってゆく。
それを無造作に拭い去ってはまた汚し
はらはらと、手のひらを零れ落ちる砂粒が風でかき消されてしまうように
絶えず沸き起こる喪失感に
気づかないふりをするのがうまくなってく今日この頃です。


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さて、

悪夢にうなされること連日。
うまく眠れないから、起きている間も寝ているような奇妙な生き物になりつつある。
2日のうちに4回も夢を見たが、カテゴリを悪夢などと曖昧に自己統一してみたものの、
この4つはそれぞれに全く違った性質を持っていた。
一つは過去を通して現在を戒めるようなもの
一つは未来への希望を破壊するようなもの
一つは唾も湧き上がらない恐怖感、じりじりと肌を焼くような忌まわしさ
もう一つは…
思い出せない。
ただごく寝心地が良い環境が整ったはずの睡眠時に
大量の汗と、いくばくかの無気力感を手土産に残した。

目が覚めているときでさえままならぬのに、
夢の中とあっては尚更コントロールが効きやしない。
何よりも好きな心地よい睡眠時間を奪われて気分が良いはずもないが、
模範となる改善策の知識などあるわけもなく
「良薬口に苦し」といった具合に、
こんなことでさえ、人生の実りになってくれることを願わずにはいられない。


昼夜の気温差に体がまいっているのかな。
昼に宿した体温が、長年蓄えてとれなくなった脂肪のように
身体や心や夢までもを蝕んでいるのかな。

首尾一貫してマフラーと手袋を手放せないような冬が恋しい。

体も心も溶け出してしまいそうな温かさよりも
背筋がしゃんと伸びてしまうような冷たく透き通ったあの景観にたたずみたい。
切り裂かれてしまうような陽の落ちる速さや
厳しく、凍てつく夜のような明け方の星に寄り添いたい。
例えばそれがただ美しいだけの、生命の季節ではなかったとしても。


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太陽の光にほんの少し傾斜が付いて、窓辺から差し込んでくる。
目が痛くなるほどの紫外線を少し弱らせて、空が次第にオレンジ色の衣を纏う。
わたしはねむり眼に冷たい水を一口。
生ぬるく乾ききった喉元に、
よく研がれた刃を付きたてられたかのような鋭い感覚。
そしてまた新しい感情が産声をあげて
混沌とした精神に一筋の希望を積み立てる。


誰かと過ごすということは難しい。
1人のときに作ったルールなんてちっとも役にたたない。
ただただ純粋に喜んだ顔が見たかったはずなのに、
裏を剥けば自己本位にしかすぎないと気づかされたり
未熟な私は感情をコントロールすることすら困難だ。
でもその代わりに新しい刺激をくれる。
違った価値観を知れる。
心地よい空気を共に出来る。
全く違うものを見てきた目先同士の、視線があった瞬間は鳥肌ものだろう。

どんな一言でも、放たれた瞬間にその一秒前には決して戻れないように
一度失われてしまった時間は元には戻らないが
同時に新しい時間を与えることもできる。
そんな簡単なトリックにつまづくのが怖いからといって、
一度、発火した言葉を出し惜しんだところで、その熱がいつか心までも焼いてしまうのなら、
それをしなかったのは、優しさじゃなくて弱さだったのだと
後になって自身で証明するなんて馬鹿げてる。
そんなこと続けたらいつか本当に
誰かを暖めるはずの灯火さえ失われてしまうのかもしれないね。



暦にない冬が身体の中で息づいている。
冷たく木枯らしを吹かせながら叱咤激励を私に投げかけている。

その存在をもう一度感じることが出来たなら、
鼻腔を通り抜けるレモングラスのように
爽やかな風がわたしの元にも舞い込んでくるだろう。
湿度と濃度と体温で朦朧とした私の足元をもう一歩進ませるように
貴方の風はやんではいないと、追い風となってくれるだろう。


今日は眠すぎるが
帰ったら大好きな映画レクイエムフォードリームをもう一度観よう。そうしよう。
だからどうか私にも、
エアーコンディショナーのような才能をくれ。
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by aoi-ozasa | 2008-07-01 17:44 | Daily life
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