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2007.07.29 『それはどうしようもないくらいに鮮やかで』
ある日目を覚ますと枕元に見知らぬ男が立っていて
「貴方が必要です」と耳元で囁かれる。
それは愛の言葉のような甘美さもなければ
また苦心より生ま出た訴え台詞のように自嘲的なものでもなく
確実に事実のみを告げた言葉で
ただ、それだけで惜しげもなく私のこころをさらってしまうだろう。

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最近ハリーポッターを観にいって
以前に公開されている前作を見終わっていない恋人を無理やりに連れ出し
その隣で思わず心が死ぬほど震えるのを感じた。
私はどうしてあの中に居ないんだろうか


枕元に現れた男はきっとこういう話をする。
「私の世界へ一緒に来て戦って欲しい 君の力が必要なんだ」
まぁそんなところだ。
それは至って簡単で、だけどとても難しい話だ。
なぜならその男についていくということは
全てを今すぐに捨てれる覚悟が必要だからだ。
もちろん、別れ挨拶などできるわけではない。
命あるまま帰ってこれる可能性も低い。
私は彼の手を取った瞬間から見知らぬ世界へと旅立って
私を知る全ての人間の前から突然姿を消し
ある日を境に永遠に記憶の住人となる。

物心がついたときから高校のときまで、
この馬鹿げた妄想はやけに変なところで現実性も帯びていた。
仮にそんな男が私のところへ来たとして、
その必要度なんて戦力的に歩兵程度の小さなもの。
貴方が必要、だなんていかにもプロポーズなみの演出家だけど
残念ながら私程度の代わりはいくらでも居てしまう。
私はこの男に答えた瞬間から向こうの住人となるが
その次の日には誰にも知られないまま息絶えて、
やがて本当にどこからも消えて失くなってしまう可能性だってあるのだ。

だけどその頃の私はほんとうにバカで
即答で行ける自信があった。
本当に今だから言える話だけど、その頃にも友達がたくさん居たし恋人も居た。
家族ともうまくやってたし、他にも大切なものはたくさんあった。
それでも、その生活を、その全てを、
たった一日しかもたないかもしれないような非力さとみずぼらしい魂を引っさげて
在りもしない一日のために
たった一瞬で自分の全てを捧げれる覚悟と決心があった

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ハリーポッターは素晴らしいと思う。
なにが、って
あの世界観、あの仲間達、あの呪文、あの戦い方
これこそが私が求めていた世界だと、観るたびに痛感させられる。
単純に、似てるんだ。私が思い描いていた向こう側の世界と。
そして映画が終わった瞬間に、やけに童心に還った気分で
大好きなシーンをこころの中で何度も何度も反すうする。
なんて夢があって、なんて儚いんだ
何度も何度も夢に見て、何度も何度も現実に引き返される
それはもう狂おしく哀しくなってしまうくらいに
自分は別物だと切り落とされてしまったかのように。


あるときから、私の妄想は少し欲深くなる。
もっと絢爛な条件がなければ行くことは出来ない。
それこそ、誰も代わりになれないほどに私が必要だとか、私しか居ないのだとか
つーかお前もともとはこっち住んでた、みたいな
"特別"という名の誘惑だ。
大切なものと引き換えに向こうに行くのだ
それがたとえ喉から手が出るほど欲しい自分だったのだとしても
その代償があまりに大きいことを改めて実感する。
子供なら自分の欲しいものに手を伸ばすことに恐れなんて抱かないだろう
私だって例外じゃない。
でもそんじょそこらの夢物語に付き合えるほど頭もイカれてない。

だから来なくてもいい。
でも待ってる
やはり来て欲しい
だけど行けない
でも待ってる。
待ってる。

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そんな風に月日が流れて、この間初めてこの話を友人にした。

その後立て続けに他の友人や恋人にも言った。
皆に大笑いをされて、いや、本気だったんだってば。と少し悔しくもなったけど
いっしょにほんまアホやわ、と笑えることもできるようになったのは
この物語が永遠に終わらないことを知ったからだ。
そんな男は来ない、そんな世界はない
そうじゃない。もしかするとあるのかもしれない。もしかしたら来るかも。
胸の情熱は未だ覚めやらぬ
だけど私はもう行けない。
諦められないものの存在に今は気付いてしまったし、
大切なものたちの大きさが心を深く占めてしまっている。
哀しいけれど、今更迎えに来られてももう遅い。
何度も何度も本気で来てくれると願ってはいたけれど、
彼の手を払いのけ、冷酷なほど冷静に彼を追い返すだろう。
その瞬間から私とその世界は全く別々のものとなる。
首を縦に振ることは二度とかなわない。

私はいつしか、自分で創りあげた空想に淡い恋心でも抱いていたのだろうか。
だとしたら本当にバカだ。
最初で最後のさよならは
ずっと貴方を待ってたんです、と消えてゆく姿を見送ることしかできない。

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この馬鹿げた妄想秘話は、今も心の奥で消えることなくそのときを待っている。
ただ、ノーという答えの決心が決まってしまった以上、前ほどの輝きもないが
イエスという返答が存在しなくなれば、
不思議なことに、物語は始まることもなければ、終わることすらないようだ。
だんだん薄れていって、少しずつ私の一部となる。
そしていつかは幸せな記憶の一部になる。

へんてこな魔法使いのお誘いを待っていた私、
その私に作られたささやかな夢の世界
その先で繰り広げられる様々な物語
そして行けない理由となったものたち全ての存在

その全てが私を死ぬまでそんな世界なんて行かなくていいように
しっかりと目を光らせていてくれることだろう。
ときどきは、思い出を懐かしむかのように、絵で描いてみるのもいいかもしれない。
真面目に考えてみて、我ながらにドン引きしてもいいかもしれない。
いつか私が空想で創りあげた魔法使いは私自身そのものになって、
夢の世界へと引き換えに素晴らしい世界へといざなってくれることだろう。

あんたが居てくれてよかった。
そんなことを思うと涙が出そうになる。
なんて幸せものなんだ。
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by aoi-ozasa | 2007-07-29 04:04 | Daily life
2007.07.10 『ゆるやかな坂』
お腹がゴロゴロゆってます。
これはお腹がすいているのではなく、痛いわけでもなく
胃が悪いのです。
それで先日からキャベジンを飲んでます。
するとなんでかお腹がゴロゴロいうのです。

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先週エヴァンゲリオンストアから物がとどきました。
映画公開に先駆けてガイナックス猛奮いのグッズ販売
マニアにはたまりません。
それで前から欲しかったビームスと初号機のコラボしたTシャツと
サキエルの指輪を買いました。
Tシャツはサイズぴったりでとても気に入ったけど
指輪は気に喰わぬ・・衝動買いでした。

正月のお年玉で死ぬほどケロッピを買っていた頃とちっとも変わっちゃーいません。

それにしてもこのTシャツ明日の競りに着ていこうかな。
でもそんな勇気はなく、ただ家でたまに着ては眺めてるだけです。
そういうのが好きなんです。

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この間、自分が毎日通る国道が坂道なんだと初めて気付きました。

それはもうゆるやかな坂で
少し身重に感じる行きは上り坂。
ほんの少し身軽な帰りのくだり坂。
地面に沿っているときは全く気付かないささやかな傾斜を
私は初めて知りました。
振り返ると先ほど自分が居た地点とは、全く違う高さにいる自分。
まるで退屈な売り上げグラフを眺めるかのようにして
でも歴然とした差がそこにはあり
ぼんやりしていると見逃してしまいそうなそういう流れを
行間を読むかのようにまた深読みをして。

私はどれほど知っているんでしょう。
今、まさにゆるやかな坂を下ってしまってはいないでしょうか。
目の前の坂を昇る体力が残っているでしょうか。
そんなことを思いながら、おお怖、と身震いして
くだり坂と知ったその国道を、
足はいとも簡単にすべり落ちてゆきました。
遠い日の自分は、どの辺くらいから私を眺めているかな。

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道で出会った猫は尻尾を垂れ流していて
元気なさげなその後姿に思わず元気づけのつもりでニャーと話しかけてみました。
まさか私が猫語なんぞを話せるわけもなく
うす気味悪い笑みを口元に浮かべていると
ほんの少し猫が反応したのが分かりました。
もう一度私がニャーと言う前に自転車が猫の横を猛スピードで通り過ぎていきました。
猫のことなど見えていないようでした。

でも猫はまるでそれを追いかけるかのように
目の前の坂を颯爽と駆け上がっていきました。
そしてその凛々しいさよならに、
わたしはほんの少し羨望の眼差しを向けるのです。
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by aoi-ozasa | 2007-07-11 01:31 | Daily life
2007.07.09 『よいねむりを』
眠る前、
その前の支度を整えて、それこそ今から電気を消して眠るぞ
と意気込んだとき
見てはいけないものや、感じてはならないものの存在に気付くときがある。
私は少し必要以上に神経質で、過敏なところがあるから
片付け前の散らかされた物質の塊や今日一日の残りかす
誰も居るはずのない部屋の中の気配や研ぎ澄まされた時計の音
それがどうにもこうにも
穏便な睡眠を約束はしてくれないのだ
できることであれば聴かないで
気付かないで眠りたいのに


昨日、電気を消そうと手を差し伸べたときに
案の定、見なくていいものを見てしまいます。
白いけど真っ青な気がする蛍光灯の電気のカサに
醜悪な二つの黒い影
一瞬、身体ではなく意識が一歩後ろへ
なんだ、これは。

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二番目に訪れるのは決まって恐怖に近い不安
たった二つの小さな濁点は禍々しく、不吉なほど心に浸透して
もう眠ろうという私の脳に、心に、たくさんの空想をお見舞いしてくれる。
汚れか?
いや、そんな一日で出来る大きさではない。
何かの物質?
いや、入れるのは小さな羽虫ぐらいなもんだとそうばが決まっているよ
一番想像したくないものが頭をよぎる
何かの生き物だ・・・

そうだ何かの生き物が、
それも入るときにはとてつもなく小さなモノでしかなかった何かが
あの中で何らかの恩栄と成長を受け、あの大きさになったのだ
それも凄まじいスピードで
信じられないほど鮮明に

あああ、もう顔を覆いたい
ビーフジャーキーみたいなやつを思いっきり噛み千切りたい
虫しかありえない
何か変な虫が、私の知らぬときの中であの場所で息絶えて
放射能みたいに降り注ぐ蛍光灯の光に
水死体よろしく、謎の死の成長を遂げたのだ
たった一日の出来事なのだ
ちくしょー
ちくしょー
ちくしょー

わめいていても仕方がない
無視して狸寝入りも意味がない
すぐにあいつを葬り去らないと。今すぐに心からあいつを取り除かないと。

「ある物事の最悪の状態を怖れている場合,その物事は必ず最悪の状態になる」
とりあえずマーフィーの法則を思い出して最悪に備えよ!と
夜中の3時、丑三つ時に持ち出したのは
掃除機とティッシュをウエットタイプのものを一緒に
至近距離にゴミ箱、そして勇気とガッツに他ならない
電気のカサのサイドのつまみを押して、
おそるおそる視線の位置まで引き下げる
この時間がもう昨日の一日よりも長い
喉を潤すほどの生唾すらない

一瞬白いものが見えて終わった、と思った。
なんだこれは!と大きく声にも出した。
頭のなかで顔も知らないマーフィーが手を振る おやすみなさい
それは生き物のはずがなく、ましてや成長など当の昔に終えた
なんとも奇妙な、ぶにぶにしたゴムみたいなものだった。
上を見上げると、蛍光灯の隙間にぽっかり小さな穴が空いていて
どうやらそこに装着してあったゴムが劣化して
単にカサにへばりついていただけだった。
心が急速に冷えた傘みたいに折りたたまれて
用意した普通のティッシュひとつまみでそいつを採りあげた。
しばらく写真などを撮って、そいつを眺めていたら
なぜか嗚咽が込み上げてきたので
掃除機などを元の場所に戻してから急いでベットに戻り
そのあと2時間も眠れなかった。
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なんなんだ
結局眠れない

気になる種を跡形もなく握り潰したのに
根付いたものはなんなんだ

どうやら眠れない理由は無数にあるらしい
眠れるひとは理由があっても眠れるし
眠れない人は超ジオラマの世界で
がっかりするぐらいにシラけるしかない。

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一体なんだったんだと思いながら今日もベットに横になる
ふと気付くと自分は、目を開けて部屋の空気に耳を澄ましてる
眠れないのではない
眠りたくないのだ
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by aoi-ozasa | 2007-07-10 01:40 | Daily life
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25歳なりました。日記は長いです。覚悟してください。
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