2009.05.09 『その感情もまた、歳をとる』
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出勤までの道のり。

見飽きてしまったようなこの街も、
マンションが建ったり、いつの間にか消えていたり、
ほんの少しずつ変化を見せる。

それは1年がまわって、また同じ月に同じ花が咲くというような
四季に見える柔らかい再来などは皆無で、
一度失ってしまえば、それは二度と思い出すことすらないようにと
グチャグチャに塗り重ねられてゆくキャンバスのようだった。


季節は巡り、街は歳をとる。
私はもはや平衡を失った、生き物として奇妙だけど
これまたオーソドックスな腹を抱えてそこをトボトボと歩く。
歩いては拾い、拾ってはすてる。
ときどきこうやってそれをしたためては、
そんなある意味でコケティッシュな行いを
今日も他人行儀に見据えているわけだな。
未練がましく煙草の吸えないブレイクタイムをちょっと恨みながらも
その日暮らしをするように、パッチワークをして記憶を繋いでいる。
あくびで大きく開口された喉の奥からは貧相な魂を、
地獄の閻魔に引きずり出されてしまわぬよう素早くその、口を閉じる。



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石・ふしぎ展覧会へ夫婦で出向く。

全然スペースを活かせてない、但しお金の匂いがすごくする雑居ビル内で
年に1度ひっそりと行われている。
ビル内ですら、全く宣伝/会場誘導がなされていないマニアックさと、
裏腹に熱気溢れるうさん臭い会場内の雰囲気のミスマッチが最高に好き。

化石や、鉱物をいろいろ物色して楽しんだ。
なぜか数日後に鞄の中から、購入した覚えのない写真のレッドクォーツのルースが出てきて驚き。
えっ、なぜ鞄の中に…?!
夫に聞いても知らない様子であるし、
私も全くどうして自分の鞄にこんなものが入っているのか分からない。
もしかすると私、夢遊病のように、
無意識で万引きしてしまっているんじゃあ…?と不安になるが
人工カットには興味がないし、どうせならもっと好みに近いものにするだろうと責任逃れ。
胡散臭いインド人がくれたということにして
家に転がしてある。
赤鉄鉱をふんだんに含んだ、これは…ブリリアンカットか?
光を跳ね返しながら採り入れるさまは、天体のようだ。
陽にさらすと時間を忘れた喀血した血飛沫のような赤が、きれいだと思う。



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GWは夫と、京都のギャラリーmuzzへ、Robert Plattの展示をみにいく。

何年ぶり…?
学生の頃に1度来たきりだ。

作品は相変わらず最高。
いや、以前にも増して物語性があって、無国籍な雰囲気が神秘的だった。
夫が知りあいだということで、挨拶できるのか…
と実はけっこう本人に会えるのを楽しみにしていたのだが、
諸事情で会えなかった。
残念だったが、英語がまったくできないので少し安心したのもまた事実。

でもまだ絵を志していた学生のときに初めて見たとき痺れて、
その時のDMを未だ実家の部屋に貼っているぐらいファンです。
と言いたかったんだけどな。

Robert Plattについては、夫が「Quotation」に記事を寄稿しているので
興味がある人はみてみてね。
Hitspaperでもインタビューしているし、ちょっと作品が見れます。>>
ほんと素敵なんだから!


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ギズモとモグちゃん。
ごろごーーーろ。
彼らはかわいいけどつれない、そこが良い所。

ベルカとムンクは毎日私にへばりついて寝ています。
私、何か猫を引き寄せるフェロモンみたいなん出てんのかな、
っていうぐらいに、息苦しくべったり。
それはそれでかわいいんだけどね。
鼻腔をふさがれるとさすがに寝れないよ。


さて、妊娠も33週目(9ヶ月)に入り、
そろそろ入院準備をはじめる時期に。
あっという間。
妊娠してから一度も会ってない人は、私のお腹を見て驚くなかれ。
突き出した腹は妖怪のようだぞ。


ときどき狂ったように暴れまわっている今日も元気なお腹の我が子。

最近は、お腹が重たいせいか寝苦しく、
夜中に何度も目がさめてしまう。
そんな時、静かに仰向けになってはひと呼吸ついて
腹の皮一枚越しに感じる胎動に愛おしく手をあてがいながら、
ふとその存在に、「死ねる」と思う。

昔、どれだけ人を好きになっても、
その貴重な想いが恐怖心に勝ることはなかった。
たとえ想像上ですら、
熊やエイリアンの襲撃に合うというシチュエーションに自分は
その人を置いて全速力で逃げてしまうだろうなと思っていた。

しかしながら、今、
約9ヶ月間、同じ血を分け合って過ごした存在に初めて、
熊と立ち向かう自分が想像できる気がする。
映画や漫画から飛び出してきたヒーローのみたいに
両手を拡げて、身代わりになる自分が初めて現実味を帯びる。
それはすごいことだよな、と、
いや、とんでもなくすごいことだ。

そんなことを夫と話しながら、
まだこの世に生まれても居ない小さな命を、全力で守ってあげたいと思った。



ナショナル・アイデンティティー
民族的同一性。国民的同一感情。

いやせかいじゅう、誰しもが、
全ての生き物が同じように、こういう感情を抱くだろうな。
そしてその感情もきっと歳をとる。
ひん曲がったり、小さく萎んだり、色褪せたりもする。
でもそれがこの先、彼の成長と共に
優しく老いて行くことを願いながら、
お腹をさすって眠りにつきます。

明日はちょっと早い旦那の誕生日プレゼントを買いに。
また自分のものを買ってしまわぬよう気をつけよう。
なんか他にもいろいろ書きたいことがあったが、
これ以上長くなると自分ですら読めないのでやめときます。
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by aoi-ozasa | 2009-05-09 02:10 | Daily life
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