なんなんですか。
2月。 こないだ春来たみたいになってたのに、また冬。 春来たー、みたいなフライングあったせいで極寒。 冷えきった皮膚が湯船いっぱいのお湯との距離にじんじんきちゃうみたいに 身体がね、その差についてけないわよ、と言っています。 ああ木枯らし。春の夢を見る。 ゆりこにもらったマルジェラの手袋、重宝していますよ。 こないだは久々に連絡ありがとう。 いくつになってもマメじゃない友ですまない。 2/14は神戸、切望のコールドプレイのライブ。 確か3、4年前、その当日に知って、果物と一緒に唇の皮噛むぐらい悔しい想いした。 そのとき、同じように悔しいって言ってた離れている友人に ああ、次は絶対に行きたいよねえ、 って話していたのが今の夫。 まさかその数年後、バレンタインのまさにその日に、 夫婦として一緒に来てるなんて、いったい誰が想像したことだろう。 少なくとも、私は、未だにまさか!って感じであるのだ。 コールドプレイのライブは、 1曲1曲が精彩を欠くことなく、物語を紡ぐようにして演奏される。 ライブ全体を俯瞰して、盛り場を用意する常套のやり方に対して、 ひとつひとつにたくさんの演出が盛り込まれていて、どんな角度からも楽しめるように 観客の目線を常に考慮されていることが伺えた。 いや、それは最早ステージ下の目線ではない。 そこには観客とパフォーマーの区切りがないほどに、 本来、決して相容れない壁の存在感をかぎりなくゼロに近づける満場の一体感を作り上げていた。 もちろん、そこに居た私は自分が物語の一役を担ったかのような満足感を、 高揚感を一度も失うことなく光にのまれ込む。 その時間を共にする人々も、それぞれが描いた世界たちを、ぶっとい触手で触れ合っている。 光のシャワー、まるで祭典のよう。 吊るされた球体に映像が映し込まれて、惑星のように見えるそれが、広い場内を宇宙に見立てて より一層膨らませる。 蝶を降らす演出は、たくさんの人を笑顔にさせた。 ハラハラと限りなく舞い落ちる蝶の形の紙吹雪。 ひとつが、誰かの肩にとまって、知りようのない私たちの距離をぐっと縮める。 そして声。 完成度の高い、それでいて荒削りの、 光をばら撒きながら駆け巡る彗星のような。 トム・ヨークの、 梅雨の雨のような歌声が不帰鳥の慟哭であるとするならば、 クリスの吹き抜ける風のような美声は、春を知る渡り鳥の絶唱だろう。 極めて美しい詩の合間に、そよ風のように、または雷雨のように音が鳴り響く。 響音して波紋が拡がる、連鎖する。 そこには闇もあるが、それがより一層光の存在を際立たせていることを誰しもが知るだろう。 旅人のコートを脱がそうとする太陽と北風のせめぎあいの中で、 唯一その愚かな争いをとめることが出来る理由は何だろうか。 私ならば、物語に鳥を付け加えよう。 歌のとても上手な、器用で美しい鳥を一羽。 その美声に、誰しもが焦がれ、己を蔑まずにはいられない。 無益な争いを今すぐにやめて、共に奏でる道をどうして選んではいけなかったのかと。 音を続けろ、円舞曲を踊るように 真っ赤でタクトを振れ、 素晴らしい公演だったと思う。 なんなら9000円は安いので、帰りに5000円ぐらい置いて帰りやがれ、と言われてもいいね、 とリアルに数字を算出できたほどだ。 見れてよかった。 そしてこの人と行けてよかった。 写真はバレンタイン、無印の力を全面的に借りた製作物。 あと、ベルカ驚きすぎね。
by aoi-ozasa
| 2009-02-19 01:17
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